気の遣い方がズレている…

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山間の川私は、親しい人には不妊治療のことを話していますが、往々にしておかしな気の遣われ方をしてしまいします。
いい大人同士のことなので、何かクレームするわけでもありませんが、複雑な気持ちになる瞬間です。

ざっくりと、ずれ方のパターンはこんなところです。
・あれって、すごくお金がかかるんでしょ?(妙に家計を心配される)
・ぱったりと連絡が途絶える
・不妊治療者について見聞きした、経済的破綻、離婚、メンタルな病などの不幸話を聞かされる
・高齢出産者の例を挙げて、あなたもいけるよ!と励まされる
・妊活指導

なんでこの反応がいけないの?と不思議に思う方のために、少し説明してみたいと思います。

①妙に家計を心配される

まずこちらですが、他人の懐具合を探るのが下世話であることはもちろんですが、不妊治療でいちばんキツいのは、経済的負担そのものではありません。もっと辛いのは、暮らしの優先順位であきらめなくてはいけないことが出てくることや、たくさんの費用をかけて行う治療の、身体的・精神的な負担です。

私の場合、正社員で働いていた会社を辞めることになりましたし、ざっくり年間100万円以上は妊活につぎ込んでいます。(確定申告、補助金を考慮後の金額です)そして、悶絶するほどの痛みに耐えたにもかかわらず、成果なし!のようなことが続きます。
こういった辛さの全体像を見ずに、妙に治療費の話に集中されても、面白がられているようにしか思えません。

そうではなく、いろいろ大変だね…と体調を気遣ってあげるほうが良いと思います。

②ぱったりと連絡が途絶える

妊活していることを知り合いに話すと、何割かの人からは、ぱったりと連絡が途絶えます。
そして、その後、人づてにその子が出産していたなんていう話を聞いたりします。
それまでは普通に合っていたりして、その時点で、すでに妊娠中だったということもあります。

「不妊の人に気を遣ってあげたのに、何がいけないの?」
という声が聞こえてきそうですが、仲間内で自分だけのけ者にされるというのは、けっこうキツいです。

不妊治療中だからといって、急に友達リストから外さないでください。
「今後付き合う価値のない相手」と思われているのかな…と落ち込んでしまいます。
気の遣い方としては、むしろ、メールでさらっと近況報告してもらえると助かります。

③不妊治療者の経済的破綻、離婚、メンタルな病などの不幸話を聞かされる

不妊治療している人を相手に、ほかの不妊治療経験者の不幸な結末を聞かされることが良くあります。悪気はなく、相手が興味のありそうな話題として話しているとは思うのですが、聞いているほうにとっては、かなりの苦痛です。
たとえて言うなら、病気で治療中の人に、あの人は同じ病気で亡くなったよ…とわざわざ言うようなものです。

年をとれば人は100%不妊になるので、不妊そのものは病気ではありませんが、夫婦にとって子供がなかなかできないということは大きな問題です。半笑いでワイドショー的なネタにするのは重すぎます。「知り合いが、妊活に必死でマンション売っちゃったよ~アハハ!」のような話を聞いて、どう笑えというのでしょうか。不妊治療に成功した話も、当事者以外からは聞きたくないです。

やるなら、本人のいないところで好きにやってください。

④高齢出産者の例を挙げて、あなたもいけるよ!と励まされる

まず、こちらの妊活にともなうダメージを理解してから、頑張れと言ってほしいです。

下半身丸出しで悶絶の痛みに耐えて治療してようやく授かったと思った子を流産した時には、もはや朝起きて一番に考えることは、「もう辛い…死にたい…」です。悲しい気持ちを理性で打ち消してなんとか頑張っていますが、この気持ちを知らずして、この生活を何年も続けろという権利はありません。

また、個別の状況もわからないのに、安易に励まされても説得力がありません。高齢ですんなり出産できた人は、結婚や子づくり解禁も遅かった場合が多く、自分でも認めたくないですが、元のポテンシャルが違います。

⑤妊活指導

子持ちの友人からは、親切のつもりか、かなりの率で子づくり指導的な話をされるのですが…本当にやめてほしいです。

アドバイスを聞けないから不妊になっちゃうんだよ!とでも言われてしまいそうですが、個別の状況が分からないのに、他人の例だけ話されても、アドバイスとして活用のしようがありません。

有名な婦人科の先生のブログで「妊娠成立と走り幅跳びの関係」という記事がありますが、(検索すると出てきます)、妊娠を走り幅跳びにたとえた時、フォームや助走がめちゃくちゃでも、飛べる人は規定値まで一発で飛べるのです。
でも、ほかの人が同じように真似して飛ぶべき、ということは意味しません。

排卵日に頑張ってね!と言われても自力で受精する確率がほぼ無いとか、食生活とか冷えとりの話をされても、もうすでに頑張ってます!という状況だったりで、だからダメなんだと落ち込むことはあっても、励まされることはありません。

大前提として、妊活であることで、いろいろと気を遣わせている状況は申し訳ないなあと思っています。
でも、できれば、妙な気の遣い方はしないでもらえると助かります。

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